苗色のキャスケードブーケ
日本の色、今回は「苗色」夏の色です。
夏の襲(かさね)、表は薄青(うすあお)裏は黄色(きいろ)
苗色(なえいろ)とは、稲の苗のような少し淡い黄緑色です。 『 淡萌黄 うすもえぎ 』( 薄萌木 うすもえぎ )の別名で、夏の色として平安時代から使われてきました。
平安時代の有職故実の書「 助無智秘抄 じょむちひしょう 」にも「苗色トハ黄気アル青物也」と記されています。
「襲色目(かさねいろめ)」とは、季節の情景や植物など、自然の彩りや変化を「衣」に取り入れ、「表」と「裏」の組み合わせによって、その季節が感じ取れるよう、表現されている配色美です。
昔から、四季と深く関わり、自然の趣を大切にしながら暮らしている日本人が築き上げた繊細な美的感覚は、現代の「きもの」の装いにも受け継がれています。
日本の色文化の原点ともいえる平安貴族の“たしなみ”の一つとされる「襲色目」を現代の「きもの」の装いに留まらず、洋服の色使い、生活用品にまで、取り入れることで、色彩の幅が広がり、ひと味違う和風で、お洒落な生活が楽しめます。
また、「きもの」を装う上では、季節を先取りすることも、大きな魅力となります。日本には移り変わる四季があって、その季節を先取りし、変化を楽しむためにも、「襲色目」などの色使いは大変参考になります。
今回は、田植えの際に植えられた「若苗」が、初夏の日射しを浴び、天に向かって成長し、緑色の濃さを増してきた頃の色を表す「苗色(なえいろ」という「襲色目」を使ってみました。
この「苗色」は、平安時代に天皇の側で仕える人々の服色にも用いられていたとのことです。
また、「苗色」になる前の稲の色を、「若苗色」といい、田んぼに植えられた早苗の「若苗色」から、それらが力強く育つ「苗色」へと変わり、キラキラと輝く田園風景が緑豊かに広がる季節を今まさに迎えています。
暦の上でも、6月11日に入梅を迎えます。
入梅は、梅雨入りの時期に設定された雑節です。現在の日本では、太陽黄経が80°の時またはその日で、新暦で6月11日ごろ。とされています。(ウィイペディアより)
これから本格的な梅雨となりますが、恵みの雨を受けた「苗」が、実りの時に向かい、ますます、色濃くなっていきます。苗の色の変化とともに、その鮮やかな色を愛でるのもこの時期ならではの楽しみです。
襲色目の「表」と「裏」には、稲の苗代の薄い萌黄色を表す「淡青(うすあお)」と「黄(き)」が表現されており、「淡青」は、穏やかさや落ち着きを表し、「黄」は、それに、明るさが加わり、若々しさが映し出されています。
平安時代の美意識となる「襲色目」を現代の装い、特に人生最大の行事である、結婚式に取り入れることにより“粋”な装いになることでしょう。
また、その時期を心に刻むために古からの「襲色目」を使うのも1つの試みです。
ブーケひとつのことですが、こだわりの色に、味わい深い意味合いを添えて、趣のあるウェディングスタイルにしてみませんか。
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